コラム
「乳がん検診は受けない」その判断のベースとなるものは?
乳がん検診の啓発をしているなかで「私は検診には行かない、行くつもりはない」という声を耳にします。医療との関わり方はその人の人生観や価値観が影響するので、多様性があるのは自然だと思います。自分の価値観で「乳がん検診には行かない」と決めるのはアリですが、あなたのその価値観を形成したのはどんな情報でしょうか。
例えば「検診を受けると逆にがんの確率が上がるから受けない」という人がいます。おそらくマンモグラフィ検診による被ばく量を気にしてのことだと思いますが、放射線による被ばく量は自然界の放射線レベル程度なので危険性は低いことがわかっています。
ほかに「家族にがん患者がいないから私は大丈夫」という人は、本当に安心でしょうか。遺伝性乳がんは全体の5%程度ですし、身内に乳がん経験者がいない私も検査の結果「残念ながら悪いものでした」と乳がんを告知されました。「特に理由はないけれど今まで受けたことがないから」という人は、食の欧米化などライフスタイルの変化も影響し乳がんが身近ながんになっているので、乳がんの今を知って自己管理に役立ててください。
「乳がん検診に行かないと危険だよ」という怖がらせではなく、検診に限らず医療に関わる判断は客観的で正しい情報の見極めが大切です。そして、万が一乳がんになったときにその判断を後悔しないかも熟慮したうえで、検診を含めて体との向き合い方を自分自身と話し合ってみることをおすすめします。